プラチナ・プリント

プラチナ・プリント・プロセス

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platinum print process

プラチナ・プリントは1873年ウイルスという人によって発見された。

その後いろいろな人々によって研究がなされ今日に至っている。
現在写真界においては、プラチナプリントの処方を試みたことのないひとには、決して真似できない処方だと信じられてきた。

プラチナプリント技法は迷信的に難しい技法で、そのテクニックは神話的な存在になっているようだが、この本で紹介するプラチナ・プリントは比較的簡単なプロセスのひとつである。

プラチナプリントは大変高価なプリントであることがそうさせたのかもしれない。塩化白金(プラチナ)を使用するせいで画像の出来上がりはとても素晴らしい黒のしまりと、階調、濃度、粒状性を持っている。

もっとも美しいプリントで永久保存性が大変よい。


1891年にイギリスでアリストプラチノという名前で発売された。このプリントは20世紀の初頭まで肖像用プリント紙として大変人気を博していたが、 
1881年に比較的安価なガスライト紙が発売され、
1883年には引伸用クロロブロマイド紙が発売されるに及んで、感度が低く密着プリントしかできず、高価であったために、
1937年には発売中止になってしまった。

現在はどこの国でも製造されなくなってしまったので自作するしかない。


感度が低いため密着プリントしかできない。
プリントは太陽光の紫外線か、フラットランプで露光し感光される。
これを現像液で還元現像すると大変美しい画像があらわれてくる。
一般モノクロ現像液ではアルカリ性が強すぎるために現像することができないので、プラチナプリント専用の現像液を使用する。
同様に定着液も一般モノクロのものは酸性効果が強すぎて使用できない。せっかくの画像が酸に還元され過ぎて画像が薄くなるからである。これらを処理する上で手作り写真の感覚を十分味わうことができる。

乳剤を同じように作っても、プリントの仕上がりの色は紙質などで、黒から上品な温黒調などに変化することがある。

プラチナ・プリントは普通の印画紙よりも永久保存性がよい。


保存性の寿命はプリントされた紙質(紙の寿命とおなじである)を選ぶことによってほとんど決まる。

数年間も海水に浸かっていた船の中からプラチナ・プリントが大変良い状態で出てきた例があると聞く。

プラチナプリントの技法で、ある人が新しい処方を発見したが、その人はその処方を秘密にしたまま死んでしまったので未だに不明のままで、その処方は今では想像するしかないとも聞く。昔からプラチナ・プリントにはいつも秘密めいたものが隠されている。これらの苦労して発見した秘密処方はなるべくならば人に知られず、自分だけのものにしておきたい。

会得した処方はそう簡単には他人に教えたくないという考えが根強く残っていたように思えるのは大変残念なことである。著者はそうしたくないと思っている。

ノン・シルバープリント(非銀塩写真)

鉄塩(フェリック・プロセス)

蓚酸第二鉄アンモニウムを乳剤に使用する処方。

手作り写真に使用する紙はアルカリ現像液や酸性定着液に長時間水に浸すので、水に強い紙でなくてはならない。
最高級の無酸紙(ラグ・ペーパー)、水彩画用紙、版画用紙の使用を進める。

プラチナ

塩化白金

塩化金とはべつものなので注意。
赤ルビー色の針状結晶のものがよい。